溶接および加工 概要

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、2つの主要なカテゴリーに分類されます:

耐食合金(CRA)は, 一般に1000℉(538℃)以下の温度で使用され、腐食性液体に耐えることがで きます。
耐熱合金(HTA) は, 一般に1000℉(538℃)以上の温度で使用され、その温度において、高温空気および/あるいは他の高温ガスに対してかなりの強度と耐性を有しています。

耐熱合金は、強度を与えるために使用されるメカニズムによってサブカテゴリに分類することもできます。多くの合金は、かなりの量の原子的に大きな元素を含んでいます; これらは、固溶強化として知られているメカニズムによって合金に強度を付与します。他のHTA材料は、要求される強度レベルを達成するために、時効硬化として知られる(析出硬化としても知られている)メカニズムを使用します。時効硬化型の耐食合金もあります。

時効硬化型の材料を強化するために必要な熱処理は、通常、溶接および熱間/冷間加工の後に行われ、合金がアニーリングされた状態で供給される限り、これらの熱処理の前に固溶強化型合金に適用される製造技術/パラメータには多くの共通点があります。

ステンレス鋼および他の合金系と同様に、溶接の熱、熱間加工に伴う高温、あるいは冷間加工後のアニーリングの影響に曝された場合、HAYNES®とHASTELLOY®合金に生じるかもしれない冶金学的変化を基本的に理解していることは有益です。ロウ付けを試みる場合、ロウ付けに伴う温度がHAYNES®およびHASTELLOY®材にどのような影響を及ぼすのか、あるいは逆に、それに続く時効硬化(時効硬化型合金の場合)またはアニーリング処理(いかなる合金の場合でも)がロウ付け接合部にどのような影響を及ぼすのかを理解することは非常に重要です。

Haynes Internationalによって製造される汎用合金に加えて、異なる製造方法を必要とする、いくつかの特殊用途の合金があります。一つは管状形態のみで製造されるチタン合金で、そのための製造基準があります。一つは、材料に強度を付与するために窒素拡散処理を必要とする高温ニッケル基合金で、それに対しては特定の製造上の問題があります。他の二つはコバルト基の耐摩耗合金で、その一つは、通常では溶接も成形もできません;もう一方は、容易に溶接できますが、加工硬化速度が速いために冷間加工に対してはやや抵抗があります。

Haynes International 合金

主成分 耐食合金(CRA)
固溶強化型 時効硬化型
ニッケル B-3®
C-4, C-22®, C-276, C-2000®
G-30®, G-35®
HYBRID-BC1®
C-22HS®
主成分 耐熱合金 (HTA)
固溶強化型 時効硬化型
ニッケル N, S, W, X
75
214®, 230®
617®, 625, 625SQ®
HR-120®, HR-160®, HR-224®, HR-235
242®, 244, 263, 282®
718
R-41
Waspaloy
X-750
コバルト 25, 188
556®, MULTIMET®
主成分 軽量合金 (LA)
時効硬化型
チタン Ti-3Al-2.5V
主成分 耐熱合金 (HTA-NS)
窒素強化型
コバルト NS-163®
主成分 耐摩耗合金 (WRA)
コバルト 6B
主成分 耐摩耗・耐食合金 (WCRA)
コバルト ULTIMET®

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ワイヤおよび溶接

wire1

  • ルーズコイル: 直径0.030 – 0.187” (0.76 – 4.70mm)
  • 精密多層巻線: 直径 0.030 – 0.93” (0.76 – 2.40mm)
  • カットワイヤ: 直径 0.030 – 0.187” (0.76 – 4.70mm)
  • 再引抜加工用ワイヤロッド: 直径 0.218 – 0.275” (5.50 – 7.00mm)
  • 被覆溶接棒:直径 0.093 – 0.187” (0.187 – 4.70mm)

標準外のサイズが必要な場合は、当社の営業担当者にご連絡ください。

wire2ノースカロライナ州マウンテンホームにある当社のワイヤ製品製造施設では、完成した高性能合金ワイヤおよび溶接用消耗品を製造しています。 マウンテンホーム工場は、約100,000平方フィートの建築スペースを含む約29エーカーの土地にあります。完成したワイヤ製品もこの施設で倉庫に保管されています。

ワイヤ工場は、インディアナ州ココモの本社製造工場からHASTELLOY®とHAYNES®合金のロッドコイルを供給されます。製品はココモで融解され、ロッドコイルに巻かれ、ワイヤ製品製造工場に出荷されます。ロッドコイルの大部分は、線径が0.218インチ(5.50mm)です。ワイヤ工場では、世界中のさまざまなサプライヤーから注文を受けて、多くの他のニッケル合金およびステンレス鋼グレードのロッドコイルも生産しています。生産される製品は次のとおりです:

  • MIGおよびTIG専用の巻コイル、ルーズコイル、被覆溶接棒、およびスプール巻きコイル
  • 線径0.030”~0.156”(0.8~4.0mm) の溶接ワイヤ、ならびに0.008”(0.2mm)の細径ワイヤ

医療業界向けのその他ワイヤ製品:

  • 304V (ASTM F899)
  • 316LVM (ASTM A580, ASTM F138)
  • 420DVM (ASTM A580, ASTM F899)
  • Nickel 200/201/205 (ASTM B160-05)
  • NiCr 80 (ASTM-B-344)

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完成したワイヤの高速、インラ イン洗浄機

製造設備

  • Morgan製 ドローベンチ:4
  • Barcro製 中間ドローベンチ:6
  • ブルブロック:12
  • 細径ワイヤ用引抜機:32
  • 太径ワイヤ用ストランドアニールライン:5
  • 細径ワイヤ用ストランドアニールライン:5
  • 超音波洗浄機:2
  • 精密巻取機:2
  • 矯正および切断加工機:6
  • タグ貼付け機:1

wire7
GIMAX精密巻取機は、高品質 の多層巻溶接スプールを製造 します。
wire9全ての製品に対して、厳密な 材料識別が積極的に行われて います。

認証および認可

wire8ワイヤは、標準直径のルーズコイル の形態で購入できます。

熱間加工

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、熱間加工で様々な形状にできます;しかしながら、熱間加工量および加工率に対しては、オーステナイトステンレス鋼よりも敏感です。加えて、HAYNES® および HASTELLOY® 合金に対する熱間加工温度範囲は極めて狭く、熱間加工パラメータに対して細心の注意が必要です。

適切な熱間加工法の開発においては、問題となる合金の固相線(合金が溶融し始める温度)、高温におけるHAYNES® および HASTELLOY® 合金の高い強度、高加工硬化速度、および低熱伝導率に特に注意を払う必要があります。さらに、温度が熱間加工範囲の下限に向かって低下するに従って、変形に対する抵抗が著しく増加します。

したがって、頻繁な再加熱と相まって、高い(重度の)初期加工率、およびそれに続く適度な仕上げ加工率を組み込んだ熱間加工の実践が一般に最良の結果をもたらします。 加えて、変形速度が遅いことは、断熱加熱および適用される所要荷重を最小にする傾向があります。

*熱間加工の後に、HAYNES®およびHASTELLOY®合金は、使用、時効硬化(時効硬化型合金の場合)、または更なる加工に対して最適な条件に戻すためにアニールする必要があります。アニーリング温度およびテクニックは、熱処理の項に詳述されています。

溶融温度範囲

合金 溶融温度範囲
固相線* 液相線**
°F °C °F °C
B-3® 2500 1370 2585 1418
C-4
C-22® 2475 1357 2550 1399
C-22HS® 2380 1304 2495 1368
C-276 2415 1323 2500 1371
C-2000® 2422 328 2476 1358
G-30®
G-35® 2430 1332 2482 1361
HYBRID-BC1® 2448 1342 2509 1376
N 2375 1302 2550 1399
ULTIMET® 2430 1332 2470 1354
25 2425 1329 2570 1410
75 2445 1341 2515 1379
188 2400 1316 2570 1410
214® 2475 1357 2550 1399
230® 2375 1302 2500 1371
242® 2350 1288 2510 1377
244® 2480 1360 2550 1399
263 2370 1299 2470 1354
282® 2370 1299 2510 1377
556® 2425 1329 2480 1360
617 2430 1332 2510 1377
625 2350 1288 2460 1349
625SQ® 2350 1288 2460 1349
718 2300 1260 2435 1335
HR-120® 2478 1359 2542 1395
HR-160® 2360 1293 2500 1371
HR-224® 2449 1343 2510 1377
HR-235 2401 1316 2473 1356
MULTIMET® 2350 1288 2470 1354
R-41 2385 1307 2450 1343
S 2435 1335 2516 1380
W 2350 1288 2510 1377
WASPALOY 2425 132 2475 1357
X 2300 1260 2470 1354
X-750 2540 1393 2600 1427

*合金が溶け始める温度
**合金が完全に溶ける温度

鍛造

下記の合金に適用できる推奨手順と温度:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

以下は、HAYNES® および HASTELLOY® 合金の鍛造に対する推奨手順です:

  • 厚さ1インチあたり少なくとも30分間、ビレットまたはインゴットを鍛造開始温度に浸す。校正された光学的放射温度計の使用が不可欠である。
  • 鋼材は、均等に加熱されるように頻繁にひっくり返すこと。合金に火炎が直接当たることは避けること。
  • 炉から取り出した後、直ちに鍛造を始めること。短時間の経過で、表面温度が100-200℉ (55-110℃)程度低下する可能性がある。粒界の一部が溶融するおそれがあるため、熱損失を補償するために鍛造温度を上げないこと。
  • 可能な限り多くの内部熱を保持し、それによって結晶粒の粗大化および再加熱の回数を最小限に抑えるため、中程度の断面減少率(25〜40%)にすること。1回のパスあたり40%を超える断面減少率は避けること。
  • 最終部品において適切な組織と特性が得られるように、鍛造中に十分な熱間加工を施すように注意すること。 断面積が大きい部品に対しては、適切な鍛造断面減少率を可能にするために、鍛造の据え込み回数を多くした熱間加工スケジュールを推奨する。一般に許容される据え込み比率:L/Dは、3:1である。
  • 軽度の断面減少率によるサイズ仕上げ工程は、一般的に避けること。 必要であれば、鍛造温度範囲の下限で行うこと。
  • 最初の成形段階では、正方形から円形に直接成形するような急激な断面形状の変化はさせないこと。代わりに、正方形から”角を丸くした正方形”、次いで八角形、次に円形となるように成形すること。
  • 鍛造中に発生した割れや裂け目は、(条件を設けて)除去すること。 除去は、鍛造工程間の中間段階で行うことができる。

鍛造/熱間加工の温度範囲

合金 鍛造/熱間加工温度
開始温度* 仕上げ温度**
°F °C °F °C
B-3® 2275 1246 1750 954
C-4 2200 1204 1750 954
C-22® 2250 1232 1750 954
C-22HS® 2250 1232 1750 954
C-276 2250 1232 1750 954
C-2000® 2250 1232 1750 954
G-30® 2200 1204 1800 982
G-35® 2200 1204 1750 954
HYBRID-BC1® 2250 1232
N 2200 1204 1750 954
ULTIMET® 2200 1204 1750 954
25 2200 1204 1750 954
75 2200 1204 1700 927
188 2150 1177 1700 927
214® 2150 1177 1800 982
230® 2200 1204 1700 927
242® 2125 1163 1750 954
244®
263 2150 1177 1750 954
282® 2125 1163 1850 1010
556® 2150 1177 1750 954
617 2125 1163 1600 871
625 2150 1177 1600 871
625SQ®
718 2050 1121 1650 899
HR-120® 2150 1177 1700 927
HR-160® 2050 1121 1600 871
HR-224®
HR-235 2250 1232 1750 954
MULTIMET® 2150 1177 1700 927
R-41 2150 1177 1850 1010
S 2100 1149 1700 927
W 2240 1227 1800 982
WASPALOY 2150 1177 1850 1010
X 2100 1149 1750 954
X-750 2150 1177 1750 954

*最大値
**加工の性質と程度に依存する。

熱間圧延

下記の合金に適用できる推奨手順と温度:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、熱間圧延によって、棒、リング、および平板のような従来の圧延形態にすることができます。熱間圧延の温度範囲は、前記(鍛造の項に記載した鍛造/熱間加工温度範囲)と同じです。

中程度の1パス当たりの断面減少率(15〜20%の面積減少)、および200〜300SFPM(フィート/分)の圧延速度は、ミルに過負荷をかけることなく良好な結果をもたらす傾向があります。工程当たりの総断面減少率は、少なくとも20〜30%にする必要があります。熱間加工温度範囲の下限で仕上げるのが一般的で、これによって、一般的に最適な組織および特性が付与されます。

圧延前に、加工物が熱間加工開始温度で完全に浸漬されるように注意する必要があります。熱間圧延の間、加工物の温度を熱間加工温度範囲内に保つために、頻繁な再加熱が必要とされることがあります。

熱間成形

下記の合金に適用できる推奨手順と温度:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

厚板を皿形鏡板のような部品に成形する場合、通常は中間アニールを伴う冷間プレスまたはスピニング成形が適用されます。しかしながら、材料のサイズおよび厚さによっては、熱間成形が必要な場合があります。

熱間成形が必要な場合、(炉が加熱される)開始温度は、(対象となる合金の)アニーリング温度と(仕上げ)鍛造の下限温度とのほぼ中間です。熱間成形の間、加工物の温度は(仕上げ)鍛造温度の下限を下回ってはなりません。正確な熱間成形温度を維持するために再加熱が必要な場合があり、表面が過度に冷却されないように金型を温める必要がありません。

その他の熱間加工プロセス

下記の合金に適用できる推奨手順と温度: Applicable to:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

HAYNES®およびHASTELLOY®合金は、熱間押出成形および熱間スピニング成形のような、いくつかの他の熱間加工プロセスに適しています。衝撃押出成形は、加工する合金の溶体化処理温度で行わなければなりません。衝撃押出成形中は、加工物全体にわたって均一で正確な温度であることが必要であり、打ち直しは避けなければなりません。熱間押出成形および熱間スピニング成形に対するパラメータは、意図する作業および材料の正確な性質に固有のものです。 詳細については、技術支援チームにお問い合わせください。.

冷間加工

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、冷間加工によって様々な形状に容易に成形することができます。これらの合金は、オーステナイト系ステンレス鋼よりも一般的に強度があり、より急速に硬化するため、同量の冷間変形を達成するためには、より大きな荷重が通常必要とされます。HAYNES® および HASTELLOY® 合金のより高い降伏強さは、オーステナイト系ステンレス鋼と比較して、冷間成形後に大きなスプリングバックを生じる可能性があります。さらに、急速な加工硬化は、最終形状を達成するために成形ステップ間においてより頻繁なアニーリング処理を必要とするかも知れません。HAYNES® および HASTELLOY® 合金の硬度、降伏強さ、および延性に及ぼす冷間加工の影響を以下のグラフに示します。

下記の合金に適用できる硬度に対する冷間加工の影響:
耐食合金
耐熱合金

降伏強さに対する冷間加工の影響:
耐熱合金

下記の合金に適用できる伸びに対する冷間加工の影響:
耐熱合金

一般に、供給された状態の材料(Haynes International の工場でアニール済み)は、軽度の成形に対して十分な延性を有しています。しかしながら、延性の低下による亀裂発生の可能性がある高レベルの冷間成形に対しては、各々の成形作業を中間アニーリング処理を施した後に行う、一連の連続的な成形工程を推奨します。 ほとんどの状況下では、中間アニーリング処理は溶体化処理でなければなりません(処理温度は熱処理の項に記載されています)。このような連続的な成形/アニーリング作業を完了した後に、材料を最適な状態および特性に戻すために、仕上げ(溶体化)アニールを行うことを推奨します。この処理は、耐食合金の場合において、応力腐食割れに対する耐性を回復させるために特に重要です。

しかしながら、低レベルの冷間加工10%までの外繊維伸び)を施した材料のアニーリングは、異 常な結晶粒成長を引き起こし、”オレンジピール(あばた)”あるいは”ワニ皮”として知られている表面状態にし、特性に著しく影響するため推奨できません。

以下に議論するように、合金への有害元素の拡散を防ぐために、中間(あるいは仕上げ) アニーリング処理の前に、いかなる場合でも加工物の表面から、あらゆる潤滑剤、またはその他の異物を注意深く除去することが非常に重要です。

中間アニーリング処理によって生じたあらゆるスケール(すなわち、表面薄膜)は、次の成形作業の前に、酸洗いまたは機械的手段によって除去することを強く推奨します。

HAYNES® および HASTELLOY® 合金の冷間加工を成功させるためには、潤滑が重要な考慮点です。 通常、単純な曲げ加工には潤滑は必要ではありませんが、冷間引抜きなどの他の成形作業には潤滑剤の使用が不可欠です。軽度の成形作業は、容易に除去できるラード油またはヒマシ油を用いて、首尾良く完了させることができます。より厳しい成形作業には、金属石鹸または塩化/ スルホ塩化油が必要です。スルホ塩化油を使用する場合は、各工程の後に(その後のアニーリング中に硫黄が合金中に拡散するのを防ぐため)、加工物を潤滑油除去剤またはアルカリ性のク リーナで注意深く清浄化する必要があります。

白鉛、亜鉛化合物、または二硫化モリブデンを含む潤滑剤は除去が困難であり、その後のアニー リング中に鉛、亜鉛、または硫黄が合金中に拡散して深刻な脆化を招く可能性があるため、推奨できません。 同じ理由で、中間あるいは仕上げアニーリング処理の前に、あらゆる型材料、潤滑剤、あるいは異物も加工物から注意深く除去する必要があります。

曲げ、ロール成形、ロール曲げ、およびブレーキ曲げ

下記の合金に適用できる推奨手順:
耐食合金
耐熱合金

HAYNES® および HASTELLOY® の薄板および厚板は、単純な曲げ、ロール成形、ロール曲げ、およびプレスブレーキ曲げ加工に適しています。 このような加工には、潤滑は一般的に必要ありません。最小曲げ半径のガイドラインを下表に示しますが、合金ごとに異なる場合があります。

材料の厚さ 推奨値
最小曲げ半径*
in mm
<0.050 <1.27 1T
0.050-0.187 1.27-4.75 1.5T
0.188-0.500 4.76-12.70 2T
0.501-0.750 12.71-19.05 3T
0.751-1.000 19.06-25.40 4T

T = 材料の厚さ

断面が厚い場合は、延性を回復するための中間アニーリング処理を伴った複数のステップが必要です。これらの熱処理は、熱処理の項に記載されている推奨事項に従って行う必要があり、アニーリングの前に加工物の表面を清浄化することにも注意を払わなければなりません。

深絞り、引張成形、およびハイドロフォーム成形

下記の合金に適用できる推奨手順:
耐食合金
耐熱合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、深絞り、引張成形、ハイドロフォーム成形などに適しています。これらのプロセスには、一般に潤滑が必要です。耐熱合金の場合、優れた成形特性を有する細かい結晶粒の原材料が利用可能です。曲げ加工の場合と同様に、断面が厚い場合は、延性を回復させるための中間アニーリング処理をともなった複数のステップを必要とする場合があります。これらの熱処理は、熱処理の項に記載されている推奨事項に従って行う必要があり、アニーリングの前に、加工物の表面を清浄化することにも注意を払わなければなりません。

耐熱合金の成形性の指針として、いくつかの合金に対する(潤滑有りの)オルセンカップ試験結果を、310ステンレス鋼と比較して以下に示します。

合金 平均オルセンカップ深さ*
in mm
25 0.443 11.3
188 0.490 12.4
230® 0.460 11.7
556® 0.480 12.2
625 0.440 11.2
S 0.513 13.0
X 0.484 12.3
310 ステンレス鋼 0.505 12.8

* 0.040-0.070 in (1.0-1.75 mm) の薄板の、3~12回の測定値の平均。

スピニング および しごきスピニング

下記の合金に適用できる推奨手順: Applicable to:
耐食合金
耐熱合金

スピニング加工とは、回転と力との組み合わせによって、薄板またはチューブを継ぎ目のない中空シリンダー、円錐状の半球体、またはその他の対称円形に成形するための変形プロセスです。人力 ピニング(へら絞り)および機械力(またはせん断)スピニング(しごきスピニング)として知られてい る、2つの基本的な成形方法があります。前者の方法では、金属の著しい薄化は起こりませんが、後者では、金属はせん断力の結果として薄くなります。

ほとんど全ての HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、一般に室温でスピニング成形できます。寸法精度に加えて、しわやひっかき傷がないことを含めた品質管理は、作業者の技量に大きく依存します。

これらの合金をスピニング加工する場合、以下のような基本的なパラメータを考慮しなければなりません:

  • 速度
  • 送り速度
  • 潤滑
  • 材質
  • ひずみ硬化特性
  • 工具の材質、設計、表面仕上げ
  • 機械の荷重

速度、送り、および加圧力の最適な組み合わせは、通常、”新しい作業”が設定されたときに実験的に決定されます。連続作業中にマンドレルおよびスピニング工具の温度が変化した場合、均一な結果を得るために加圧力、速度および送りの調整を必要とすることがあります。

潤滑は全てのスピニング加工で使用する必要があります。通常は、機械に負荷をかける前にブランクに潤滑剤を塗布します。加工中に潤滑剤を加える必要があるかも知れません。スピニング加工中、加工物および工具には水溶性油のエマルジョンのような冷却剤を注ぐ必要があります。

スピニング加工により潤滑剤が表面に磨き込まれ、その後のアニーリング処理中に(硫黄および/または塩素の拡散による)有害な表面効果が生じる可能性があるため、硫化または塩化潤滑剤を使用してはなりません。これらのタイプの潤滑剤が誤って使用された場合は、中間または仕上げアニールの前に(研削、研磨、または酸洗いによって)完全に除去しなければなりません。

問題のない加工を実現するには、工具材料、加工品の設計、表面仕上げが非常に重要です。スピニング加工に使用するマンドレルは、硬く、耐摩耗性があり、通常の偏心荷重に起因する疲労に耐えなければなりません。

他の冷間成形加工の場合と同様に、冷間スピニング加工で製作された部品は、本指導書の熱処理の項に記載されている推奨事項に従って、中間および仕上げアニールをしなければなりません。

チューブ成形

下記の合金に適用できる推奨手順:
耐食合金
耐熱合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、標準的なパイプおよびチューブ曲げ装置で冷間成形することができます。ほとんどの曲げ作業に対して、曲げ半径の中心点からチューブの中心線までの最小推奨曲げ半径は、チューブ直径の3倍です。 ”U字型曲げ”の場合、直管部の中心線から中心線までの距離は、チューブ直径の6倍です。一方、チューブ直径の2倍の曲げ半径(曲げ半径の中心点からチューブの中心線まで)が可能になるチューブ直径と壁厚さの組み合わせがいく    つかあります。

壁厚さに対する管の直径の比が増加するにつれて、歪みを防止するために、内径および外径保    持の必要性がますます重要になります。曲げ半径が小さ過ぎると、(壁の薄化に加えて)、しわ、     不十分な楕円率、および座屈が発生することがあります。

打ち抜き

下記の合金に適用できる推奨手順:
耐食合金
耐熱合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金の打ち抜きは、通常は室温で行われます。穿孔は、最小直径を板厚の2倍に制限しなければなりません。穴の中心間距離は、直径の約3~4倍でなければなりません。

パンチとダイの片側当たりの隙間
0.125 in (3.2 mm)までのアニールした薄板 板厚の3-5%
0.125 in (3.2 mm)を超えるアニールした薄板又は厚板 板厚の5-10%

切断 および せん断

下記の合金に適用できる推奨手順:
耐食合金
耐熱合金

HAYNES® およびHASTELLOY® 合金は、(多くのオーステナイト系ステンレス鋼と比較して)強度が高く、加工硬化速度が速いため、帯鋸切断は一般的に効率が悪いです。平板形状製品の場合、炭素鋼の厚さが切断する合金厚さの少なくとも50%以上の”はさみ型”せん断機で、せん断することができます。

一般に、合金の厚さが0.4375インチ(11.1 mm)までの場合はせん断可能であり、それ以上厚い材料は通常、研磨ディスク鋸またはプラズマアークによって切断されます。ウォータージェット切断は、通常は推奨されませんが、場合によっては実用的かも知れません。棒材および管状製品は通常、研磨ディスク鋸を用いて切断されます。

HAYNES® および HASTELLOY® 合金を首尾よく切断するには、酸化アルミニウムを樹脂結合した研磨砥石を使用します。典型的な粒度およびグレードは86A361-LB25W EXC-Eです。

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、従来のシステムを使用してプラズマアーク切断することができます。最高のアーク品質は、アルゴンと水素の混合ガスを使用することにより得られます。水素の代わりに窒素ガス使用することもできますが、切断の品質が低下します。ショップエアおよび酸素含有ガスは不適切であり、これらの合金をプラズマ切断する場合には避けるべきです。

これらの合金の酸素アセチレン切断(溶断)は推奨されません。アークエア切断は可能ですが、炭素混在物を除去するために、切断後に研削が必要です。

 

熱処理

下記の合金に適用できる推奨手順および温度:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金の熱処理は非常に重要な問題です。これらの鍛錬用材料の製造においては、最適な特性、特に延性を回復させるために、中間熱処理が必要な多くの熱間および冷間圧延工程があります。耐食合金の場合、これらの中間熱処理は、一般に溶体化処理です。耐熱合金の場合は、必ずしもそのようにする必要があるとは限りません。

材料が最終サイズに達すると、仕上げアニールが行われます。これは通常、溶体化処理です;しかしながら、2~3の耐熱合金(HTA)は、結晶粒サイズ、またはいくつかの他のミクロ組織的特徴を制御するために、調整された温度で、仕上げアニールされます。

その後の、これらの供給された状態の材料の加工には、この手引書の熱間加工および冷間加工のセクションで論じられているように、もう一度、熱間加工または冷間加工を組み込むことができます。この場合も、作業には延性を回復させるための中間アニール(通常はCRA材料に対する溶体化処理)を伴う工程が含しばしば含まれます。それを終えると、加工された部品は、使用前に最適な特性を回復させるため、または(時効硬化型合金の場合は)時効硬化の準備をするために仕上げアニール(通常、CRA材料に対しては溶体化処理) が必要になります。

下記の合金に適用できます:
耐食合金

耐食性合金(CRA)の組成は、ニッケル基、クロムおよび/またはモリブデン(場合によってはタングステンで部分的に置換されている)の副次的な添加元素、(特定の媒体に対する耐性を高めるため)の銅および(より安価な原材料の使用を可能にするため)の鉄のような少量の添加元素、ならびに溶融中に酸素および硫黄のような有害な成分を除去するのに役立つアルミおよびマンガンのような少量の添加元素から成っています。供給された状態では、それらは一般に単相(面心立方体またはガンマ相)の圧延ミクロ組織を示します。

ほとんどの場合、供給状態の(CRA)材料に単相ミクロ組織が存在するのは、高温組織を”固定する”ために施された、高温での溶体化処理、それに続く急冷(急速冷却)によるものです。ゆっくり冷却すると、これらの合金のほとんどは、合金化添加元素の合計含有量が溶解限度を超えるという事実のために、一般的に組織の結晶粒界内に(少量ではありますが)第2相を含むようになります。

これは、洗練された溶解技術および手順にもかかわらず、痕跡量の炭素およびケイ素のような望ましくない元素(溶解度が非常に低い)が存在し得るという事実によって悪化します。幸いにも、溶体化処理、その後の急冷(水または冷ガスによる)は、この問題も解決します。

耐食合金は、通常、溶体化処理した状態で供給され、それらの通常の溶体化温度は、以下の表に示されています。表に示されている温度においては、ガンマ相以外の相(および、まれには一次炭化物および/または窒化物)は溶解しますが、良好な機械的特性を付与することが知られている範囲内の結晶粒径が得られます。C-4合金では、チタンの存在により、一次炭化物および/ または窒化物が見られます。

耐食合金(CRA)の場合、溶体化処理と:ミルアニール(MA)という用語は一般に同義語です。    しかしながら、(薄板製造における)連続式水素アニーリング炉に使用される温度は、ライン速度(従って、その温度での暴露時間)を補償するように調整されています。

耐食合金 (CRA)の溶体化処理温度

合金 溶体化処理温度* 急冷のタイプ
°F °C
B-3® 1950 1066 WQ or RAC
C-4 1950 1066 WQ or RAC
C-22® 2050 1121 WQ or RAC
C-22HS® 1975 1079 WQ or RAC
C-276 2050 1121 WQ or RAC
C-2000® 2100 1149 WQ or RAC
G-30® 2150 1177 WQ or RAC
G-35® 2050 1121 WQ or RAC
HYBRID-BC1® 2100 1149 WQ or RAC

*± 25°F (14°C)
WQ = 水冷 (推奨); RAC = 急速空冷

さまざまなモードの負荷の上げ下ろし、運転を行う多くのタイプの炉があるため、耐食合金(CRA)を加熱し、その後のアニールに必要な時間に関する特別な規則はありません。 一般的なガイドラインがあるだけです。

アニーリングする加工物の温度は、取付けた熱電対で測定し、アニーリング時間の記録は、加工物の全断面が推奨アニーリング温度に達したときに開始する必要があります。 断面の中心は、アニーリング温度に到達するまでに表面よりも時間がかかることを覚えておく必要があります。

時間に関する一般的なガイドラインは以下の通りです:

通常、加工物全体がアニーリング温度に到達した後は、アニーリング時間は、断面の厚さに応じて10〜30分の間でなければなりません。薄板部品に対しては、この範囲内のより短い時間を用いなければなりません。断面が厚い(重い)場合は、より長い時間を使用する必要があります。アニーリング後の急速冷却は、ミクロ組織中の特に結晶粒界において、致命的な第2相析出物の核形成および成長を防ぐために必須です。水冷が好ましく、3/8 in(9.5 mm)より厚い材料に強くお勧めします。断面が薄い場合には、急速空冷が使用されています。炉からの取り出しから急冷の開始までの時間は、できるだけ短く(そして確実に3分未満で)なければなりません。

B-3®合金には特別な注意事項が必要です。他のニッケル – モリブデン合金(特にその前身であるB-2®合金)よりも安定していますが、特に冷間加工を施された後は、1100-1500°F(593-816°C)の温度範囲で重大で有害なミクロ組織の変化が、まだ起こりやすい状態にあります。したがって、B-3®合金は、この範囲内の温度に、いかなる長さの時間も曝されることがないように注意を払わなければなりません。B-3®合金は、アニーリング温度(1950°F / 1066°C)に予熱された炉でアニールする必要があり、使用する炉は、B-3®加工物を装填した後の温度を急速に回復させるのに十分な熱容量を備えていなければなりません。

ニッケル – モリブデン(B-タイプ)合金における(アニーリング温度への加熱中に起こり得る)これらのミクロ組織変化に関連する潜在的な問題の1つは、冷間加工した材料中の残留応力による割れです。残留引張応力を低減させるために、冷間成形されたヘッドの隅の丸み部および直線フランジ領域へショットピーニングすることは、このような問題を回避する上で非常に有益であることが判明しています。

下記の合金に適用できます:
耐熱合金

ニッケル、コバルト、またはニッケル、コバルトおよび鉄の混合物を基材とする耐熱合金(HTA) は、組成的にはるかに複雑です。しかしながら、CRA合金の場合と同様に、クロムは重要な合金元素であり、表面保護膜(特に高温ガス中の酸化物)の形成を可能にします。

モリブデンおよびタングステンのような大きな原子は、多くの耐熱合金に固溶強度を付与するために使用されます。強度を高めるために時効硬化に頼っているこれらの合金は、かなりの量のアルミ、チタンおよびニオブ(コロンビウムとも呼ばれ、非常に有効な強化物として知られている第2相(”ガンマプライム”および”ダブルガンマプライム”)の非常に微細な析出物を形成することができる)を含んでいます。

アルミは耐熱合金において別の役割を果たすことができ、保護膜(特に高温で、酸化物などの存在下で、これらの材料の表面上に形成される酸化物)を改造します。実際、酸化アルミニウムは非常に粘着性があり、安定しており、保護作用があります。

炭素が一般的に負の作用物質であるCRA材料とは異なり、HAYNES® および HASTELLOY® 耐熱合金(HTA)は、意図的な炭素添加、または、それよりもミクロ組織中に誘導される炭化物に依存しており、 高温用途に対して必要なレベルの強度(特にクリープ強度)を提供します。ある場合には、これらの炭化物は、材料の凝固中に形成されます(一次炭化物)。他の場合には、高温暴露中に固体状態で形成されます(二次炭化物)。

HTA材料中の特定の炭化物タイプおよび形態に対する必要性の結果として、アニーリングは、特に製造および加工プロセスのステップ間において、はるかに複雑な課題です。

HAYNES® および  HASTELLOY®  耐熱合金は、通常、下記の温度(または、指定された温度範囲) で溶体化処理した状態で供給されます。:

耐熱合金(HTA)の溶体化処理温度

合金 溶体化処理温度/範囲 急冷のタイプ
°F °C
25 2150-2250 1177-1232 WQ or RAC
75 1925* 1052* WQ or RAC
188 2125-2175 1163-1191 WQ or RAC
214® 2000 1093 WQ or RAC
230® 2125-2275 1163-1246 WQ or RAC
242® 1900-2050 1038-1121 WQ or RAC
244® 2000-2100 1093-1149 WQ or RAC
263 2100 + 25 1149 + 14 WQ or RAC
282® 2050-2100 1121-1149 WQ or RAC
556® 2125-2175 1163-1191 WQ or RAC
625 2000-2200 1093-1204 WQ or RAC
718 1700-1850** 927-1010** WQ or RAC
HR-120® 2150-2250 1177-1232 WQ or RAC
HR-160® 2025-2075 1107-1135 WQ or RAC
HR-224® WQ or RAC
HR-235 2075-2125 1135-1163 WQ or RAC
MULTIMET® 2150 1177 WQ or RAC
N 2150 1177 WQ or RAC
R-41 2050 1121 WQ or RAC
S 1925-2075 1052-1135 WQ or RAC
W 2165 1185 WQ or RAC
WASPALOY 1975 1079 WQ or RAC
X 2125-2175 1163-1191 WQ or RAC
X-750 1900* 1038* WQ or RAC

WQ = 水冷 (推奨); RAC = 急速空冷
*ブライト (水素) アニーリング温度
**厳密な溶体化処理温度ではない (多くの予備のアニーリング温度範囲がある)

溶体化処理した状態では、耐熱合金(HTA)のミクロ組織は、一般に、本質的に清浄な(析出物を含まない)結晶粒界を有するγ相(面心立方体)マトリックス中に分散した一次炭化物から成ります。固溶強化型合金の場合、これは通常、高温での使用と室温での加工性の両方にとって最適条件です。

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、鋼およびステンレス鋼に使用されるような類の温度で応力除去処理を施すべきではありませんが、望ましくない第2相の析出(特に合金の結晶粒界における)を生じるおそれがあるため、耐熱合金(HTA)には、工程間において加工途中の加工物の延性を回復させるために、やや低いアニーリング温度が使用されてきました。これらのいわゆる中間アニーリング温度は、前述の粒界析出を生じる可能性があるので慎重に使用すべきで す。以下の表に、(選択された固溶強化型HTA材料に対する)いくつかの中間アニーリング温度の最低値を示します:

最低中間アニーリング温度(HTA)

合金 最低中間アニーリング温度
°F °C
25 2050 1121
188 2050 1121
230® 2050 1121
556® 1900 1038
625 1700 927
HR-120® 1950 1066
HR-160® 1950 1066
S 1750 954
X 1850 1010

工程のステップ間での中間アニーリング温度が(むしろ溶体化処理温度よりも)適切かどうかは、合金およびミクロ組織に及ぼすより低い温度の影響、および以降の作業の性質に依存します。これらの問題は、注意深く研究されなければならず、アドバイスが求められます。

冷間(または温間)成型中のアニーリング

下記の合金に適用できます:
耐熱合金

熱処理に対する HAYNES® および HASTELLOY® 耐熱合金(HTA)の反応は、処理前の材料の状態に大きく依存します。材料が冷間加工または温間加工されていない状態である場合、主要な反応は、通常、二次炭化物相の量および形態の変化です。その他の軽微な影響が生じることもありますが、(その前に冷間または温間加工がない場合は)結晶構造は通常、同じままです。

これらの合金を冷間または温間加工に供した場合、溶体化または中間アニールの適用は、ほとんど全ての場合に結晶構造を変えます。さらに、その前の冷間または温間加工の量は、結晶構造、ひいては材料の機械的特性に著しく影響します。

次の表は、様々なレベルの冷間加工を施した、いくつかの耐熱合金薄板の結晶粒径に及ぼす熱処理温度(5分間の持続時間)の影響を示しています。

結晶粒径に対する冷間加工および熱処理温度の影響

冷間加工率 熱処理温度 ASTM 結晶粒度
% °F °C 25 230® 556® X
0 None 3.5-4 5-6 5-6 4-5
10 1850 1010 NA NA NR NR
1950 1066 NR NR NR NR
2050 1121 NR NFR 5-5.5 5-7
2150 1177 4-4.5 4-7 5-5.5 NA
2250 1232 3-4.5 6.5-7 NA NA
15 1950 1066 7 NA NA NA
2050 1121 6-7 NA NA NA
2150 1177 5-7 NA NA NA
2250 1232 3-4.5 NA NA NA
20 1850 1010 NA NA NR NFR
1950 1066 7-8 NFR NR NFR
2050 1121 7-8 8-8.5 7.5-8.5 7-8
2150 1177 4.5-7 7.5-8 6-6.5 NA
2250 1232 2.5-4.5 7-7.5 NA NA
25 1950 1066 7.5-8 NA NA NA
2050 1121 7.5-8 NA NA NA
2150 1177 4 NA NA NA
2250 1232 3.5 NA NA NA
30 1850 1010 NA NA NFR NFR
1950 1066 NA 8-9 7.5-9.5 8-10
2050 1121 NA 9-10 7-7.5 7.5-9.5
2150 1177 NA 8.5-9 4.5-6.5 NA
2250 1232 NA 6-7 NA NA
40 1850 1010 NA NA 7.5-9.5 8-9
1950 1066 NA 9.5-10 8-9.5 8-10
2050 1121 NA 9-10 7-9 9.5-10
2150 1177 NA 8.5-9 4.5-6.5 NA
2250 1232 NA 4-7 NA NA
50 1850 1010 NA NA 9-10 8.5-10
1950 1066 NA 9-10 8.5-10 8.5-10
2050 1121 NA 9-10 8-9.5 8.5-10
2150 1177 NA 9-9.5 5.5-6 NA
2250 1232 NA 5.5-6.5 NA NA

NA=データなし
NR= 再結晶化は観察されず
NFR=完全に再結晶化されず

いくつかの固溶強化型 HAYNES® および HASTELLOY® 耐熱合金の機械的特性に対する、冷間加工に種々の温度での熱処理を加えた影響を以下の表および図に示します。

HAYNES® 25 薄板の室温機械的特性に対する冷間加工と熱処理温度の影響

冷間加工率 熱処理* 温度 0.2% 耐力 極限引張り強さ 伸び 硬度
% °F °C ksi MPa ksi MPa % HRC
冷間加工なし 熱処理なし 68 469 144 993 58 24
10 熱処理なし 124 855 182 1255 37 36
15 熱処理なし 149 1027 178 1227 28 40
20 熱処理なし 151 1041 193 1331 18 42
25 熱処理なし 184 1269 232 1600 15 44
10 1950 1066 98 676 163 1124 39 32
15 1950 1066 91 627 167 1151 44 30
20 1950 1066 96 662 171 1179 41 32
25 1950 1066 89 614 169 1165 44 32
10 2050 1121 74 510 157 1082 53 27
15 2050 1121 79 545 161 1110 52 28
20 2050 1121 82 565 165 1138 48 31
25 2050 1121 83 572 166 1145 48 30
10 2150 1177 67 462 148 1020 63 21
15 2150 1177 74 510 156 1076 55 26
20 2150 1177 72 496 154 1062 59 26
25 2150 1177 69 476 149 1027 62 25
10 2250 1232 69 476 144 993 64 95
15 2250 1232 64 441 142 979 68 97
20 2250 1232 62 427 135 931 69 97
25 2250 1232 61 421 138 951 70 96

*5 分間保持 + 急速空冷
引張り試験結果は、2又はそれ以上の試験の平均
HRC= ロックウェル硬さ “C”スケール

HAYNES® 188 薄板の室温機械的特性に対する冷間加工と熱処理の影響

冷間加工率 熱処理* 温度 0.2% 耐力 極限引張り強さ 伸び 硬度
% °F °C ksi MPa ksi MPa % HR B/C
冷間加工なし 熱処理なし 67 462 137 945 54 98 HRB
10 熱処理なし 106 731 151 1041 45 32 HRC
20 熱処理なし 133 917 166 1145 28 37 HRC
30 熱処理なし 167 1151 195 1344 13 41 HRC
40 熱処理なし 177 1220 215 1482 10 44 HRC
10 1950 1066 91 627 149 1027 41 30 HRC
20 1950 1066 88 607 153 1055 41 28 HRC
30 1950 1066 84 579 158 1089 41 30 HRC
40 1950 1066 91 627 163 1124 40 31 HRC
10 2050 1121 65 448 143 986 50 22 HRC
20 2050 1121 71 490 149 1027 47 25 HRC
30 2050 1121 80 552 155 1069 44 28 HRC
40 2050 1121 87 600 159 1096 43 30 HRC
10 2150 1177 62 427 140 965 55 96 HRB
20 2150 1177 65 448 141 972 53 97 HRB
30 2150 1177 67 462 143 986 52 99 HRB
40 2150 1177 64 441 141 972 56 97 HRB
10 2250 1232 59 407 132 910 59 95 HRB
20 2250 1232 58 400 130 896 63 94 HRB
30 2250 1232 58 400 131 903 63 93 HRB
40 2250 1232 58 400 132 910 62 93 HRB

*5 分間保持 + 急速空冷
引張り試験結果は、2又はそれ以上の試験の平均
HRB= ロックウェル硬さ “B”スケール
HRC= ロックウェル硬さ “C”スケール

HAYNES® 230® 薄板の室温機械的特性に対する冷間加工と熱処理温度の影響

冷間加工率 熱処理* 温度 0.2% 耐力 極限引張り強さ 伸び 硬度
% °F °C ksi MPa ksi MPa % HR B/C
冷間加工なし 熱処理なし 62 427 128 883 47 95 HRB
10 熱処理なし 104 717 145 1000 32 28 HRC
20 熱処理なし 133 917 164 1131 17 35 HRC
30 熱処理なし 160 1103 188 1296 10 39 HRC
40 熱処理なし 172 1186 202 1393 8 40 HRC
50 熱処理なし 185 1276 215 1482 6 42 HRC
10 1950 1066 92 634 144 993 33 24 HRC
20 1950 1066 81 558 142 979 36 26 HRC
30 1950 1066 76 524 142 979 36 99 HRB
40 1950 1066 81 558 146 1007 32 23 HRC
50 1950 1066 86 593 148 1020 35 24 HRC
10 2050 1121 81 558 139 958 37 98 HRB
20 2050 1121 65 448 136 938 39 97 HRB
30 2050 1121 72 496 140 965 38 99 HRB
40 2050 1121 76 524 142 979 36 99 HRB
50 2050 1121 81 558 144 993 36 23 HRC
10 2150 1177 56 386 130 896 44 92 HRB
20 2150 1177 64 441 134 924 40 96 HRB
30 2150 1177 70 483 138 951 39 98 HRB
40 2150 1177 73 503 139 958 38 98 HRB
50 2150 1177 72 496 138 951 39 98 HRB
10 2250 1232 52 359 125 862 47 92 HRB
20 2250 1232 57 393 128 883 45 92 HRB
30 2250 1232 54 372 126 869 48 92 HRB
40 2250 1232 53 365 126 869 47 91 HRB
50 2250 1232 55 379 128 883 46 89 HRB

*5 分間保持 + 急速空冷
引張り試験結果は、2又はそれ以上の試験の平均
HRB= ロックウェル硬さ “B”スケール
HRC= ロックウェル硬さ “C”スケール

HAYNES® 625 薄板の室温機械的特性に対する冷間加工と熱処理温度の影響

冷間加工率 熱処理* 温度 0.2% 耐力 極限引張り強さ 伸び 硬度
% °F °C ksi MPa ksi MPa % HR B/C
冷間加工なし 熱処理なし 70 483 133 917 46 97 HRB
10 熱処理なし 113 779 151 1041 30 32 HRC
20 熱処理なし 140 965 169 1165 16 37 HRC
30 熱処理なし 162 1117 191 1317 11 40 HRC
40 熱処理なし 178 1227 209 1441 8 42 HRC
50 熱処理なし 184 1269 223 1538 5 45 HRC
10 1850 1010 63 434 134 924 46 NA
20 1850 1010 71 490 138 951 44 NA
30 1850 1010 78 538 141 972 44 NA
40 1850 1010 82 565 141 972 42 NA
50 1850 1010 82 565 141 972 42 NA
10 1950 1066 61 421 133 917 46 NA
20 1950 1066 71 490 137 945 45 NA
30 1950 1066 77 531 140 965 44 NA
40 1950 1066 83 572 142 979 42 NA
50 1950 1066 82 565 141 972 42 NA
10 2050 1121 58 400 128 883 50 NA
20 2050 1121 67 462 135 931 46 NA
30 2050 1121 58 400 127 876 52 NA
40 2050 1121 72 496 137 945 44 NA
50 2050 1121 61 421 130 896 50 NA
10 2150 1177 52 359 122 841 55 NA
20 2150 1177 54 372 124 855 55 NA
30 2150 1177 53 365 122 841 56 NA
40 2150 1177 52 359 122 841 55 NA
50 2150 1177 51 352 119 820 58 NA

*5 分間保持 + 急速空冷
引張り試験結果は、2又はそれ以上の試験の平均
NA=データなし
HRB= ロックウェル硬さ “B”スケール
HRC= ロックウェル硬さ “C”スケール

HAYNES® HR-120® 薄板の室温機械的特性に対する冷間加工と熱処理温度の影響

冷間加工率 熱処理* 温度 0.2% 耐力 極限引張り強さ 伸び 硬度
% °F °C ksi MPa ksi MPa % HR B/C
冷間加工なし 熱処理なし 60 414 113 779 39 93 HRB
10 熱処理なし 103 710 126 869 26 27 HRC
20 熱処理なし 129 889 144 993 11 32 HRC
30 熱処理なし 143 986 157 1082 6 34 HRC
40 熱処理なし 159 1096 179 1234 6 35 HRC
50 熱処理なし 166 1145 186 1282 5 36 HRC
10 1950 1066 52 359 109 752 38 89 HRB
20 1950 1066 55 379 111 765 38 92 HRB
30 1950 1066 60 414 115 793 38 93 HRB
40 1950 1066 65 448 117 807 37 93 HRB
50 1950 1066 67 462 118 814 34 93 HRB
10 2050 1121 49 338 108 745 47 88 HRB
20 2050 1121 53 365 117 807 41 90 HRB
30 2050 1121 55 379 112 772 40 91 HRB
40 2050 1121 58 400 114 786 37 91 HRB
50 2050 1121 59 407 114 786 37 89 HRB
10 2150 1177 49 338 109 752 43 86 HRB
20 2150 1177 50 345 109 752 42 87 HRB
30 2150 1177 51 352 110 758 43 88 HRB
40 2150 1177 50 345 111 765 38 86 HRB
50 2150 1177 50 345 110 758 39 82 HRB
10 2250 1232 46 317 106 731 46 84 HRB
20 2250 1232 44 303 104 717 47 80 HRB
30 2250 1232 44 303 103 710 48 80 HRB
40 2250 1232 44 303 104 717 45 81 HRB
50 2250 1232 44 303 104 717 43 83 HRB

*5 分間保持 + 急速空冷
引張り試験結果は、2又はそれ以上の試験の平均
HRB= ロックウェル硬さ “B”スケール
HRC= ロックウェル硬さ “C”スケール

HASTELLOY® X 薄板の室温機械的特性に対する冷間加工と熱処理温度の影響

冷間加工率 熱処理* 温度 0.2% 耐力 極限引張り強さ 伸び 硬度
% °F °C ksi MPa ksi MPa % HR B/C
冷間加工なし 熱処理なし 57 393 114 786 46 89 HRB
10 熱処理なし 96 662 129 889 29 25 HRC
20 熱処理なし 122 841 147 1014 15 31 HRC
30 熱処理なし 142 979 169 1165 10 35 HRC
40 熱処理なし 159 1096 186 1282 8 37 HRC
50 熱処理なし 171 1179 200 1379 7 39 HRC
10 1850 1010 76 524 125 862 32 98 HRB
20 1850 1010 91 627 132 910 27 23 HRC
30 1850 1010 87 600 135 931 28 99 HRB
40 1850 1010 77 531 133 917 32 98 HRB
50 1850 1010 81 558 135 931 33 99 HRB
10 1950 1066 74 510 122 841 34 93 HRB
20 1950 1066 66 455 124 855 35 96 HRB
30 1950 1066 63 434 126 869 36 96 HRB
40 1950 1066 70 483 129 889 35 96 HRB
50 1950 1066 74 510 129 889 34 97 HRB
10 2050 1121 53 365 119 820 42 89 HRB
20 2050 1121 56 386 121 834 40 91 HRB
30 2050 1121 61 421 123 848 39 94 HRB
40 2050 1121 65 448 125 862 37 94 HRB
50 2050 1121 67 462 125 862 38 94 HRB
10 2150 1177 45 310 109 752 49 94 HRB
20 2150 1177 47 324 111 765 47 87 HRB
30 2150 1177 49 338 113 779 46 86 HRB
40 2150 1177 46 317 110 758 48 85 HRB
50 2150 1177 46 317 110 758 48 84 HRB

*5 分間保持 + 急速空冷
引張り試験結果は、2又はそれ以上の試験の平均
HRB= ロックウェル硬さ “B”スケール
HRC= ロックウェル硬さ “C”スケール

時効硬化型合金に対する時効硬化処理

下記の合金に適用できます:
耐食合金
耐熱合金

合金 処理ステップ数 処理条件
C-22HS® 2 1300°F (704°C)で16時間保持後、1125°F (607°C)まで炉冷、

1125°F(607°C)で32時間保持後、空冷

242® 1 1200°F (649°C)で48 時間*保持後、空冷
244® 2 1400°F (760°C)で16時間保持後、1200°F (649°C)まで炉冷、

1200°F(649°C)で32時間保持後、空冷

263 1 1472°F (800°C)で8時間保持後、空冷
282 2 1850°F (1010°C)で2時間保持後、急速空冷または空冷、その後、 1450°F (788°C)で8時間保持後、空冷
718 2 325°F (718°C)で8時間保持後、1150°F (621°C)まで炉冷、

1150°F(621°C) で8時間保持後、空冷

R-41 1 1400°F (760°C)で16時間保持後、空冷
 

WASPALOY

 

3

1825°F (996°C)で2時間保持後、空冷、

その後、1550°F (843°C)で4時間保持後、空冷、

その後、1400°F (760°C)で16時間保持後、空冷
X-750 2 1350°F (732°C)で8時間保持後、1150°F (621°C)まで炉冷、

1150°F (621°C)で8時間保持後、空冷

*最小値

時効硬化可能な材料を硬化/強化するために、出発材料が溶体化処理された状態であると仮定して、通常、以下の処理が適用されます。これらの合金のいくつかに対しては、 意図する用途および必要な強度レベルにより、代替えの硬化/強化処理が可能です。 詳細は、Haynes International にお問い合わせください。

加熱および冷却速度

下記の合金に適用できます:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金の加熱および冷却は、一般にできるだけ迅速に行う必要があります。これは、中間温度でのミクロ組織における第2相粒子(とりわけ、耐熱合金の場合には炭化物)の析出を最小にするためです。急速加熱は、また、冷間または熱感加工により蓄えられたエネルギを保存するため、アニーリング温度での再結晶化および/または結晶粒の成長にとって重要です。実際、加熱が遅い場合は、特に断面が薄い部品において、アニーリング温度における限られた時間しか与えられていなくても、望ましい結晶粒径よりも細かくなる可能性があります。

溶体化処理後の急速冷却は、特に、おおよそ1000°F〜1800°F(538°C〜982°C)の温度範囲で、ミクロ組織の結晶粒界において第2相の析出の析出を防ぐためにも重要です。実用的には、歪みが生じにくい場所では、水冷が好まれます。(時効硬化型の耐熱合金部品の場合は)時効硬化処理からの冷却は、通常、空気冷却によることに留意してください。

冷却速度が遅いことに対する個々の合金の感度は異なりますが、冷却速度が特性に及ぼす影響の例として、HAYNES®188 合金のクリープ寿命を冷却プロセスの関数として次の表に示しています。

HAYNES®188 薄板のクリープ寿命に対する冷却速度の影響

2150°F (1177°C)での溶体化処理後の冷却プロセス 1600°F/7 ksi (871°C/48 MPa) 試験に対する0.5%クリープ時間
水冷 148 h
空冷 97 h
1200°F (649°C)に達するまで炉冷、その後、空冷 48 h

保持時間

アニーリングに必要な温度での保持時間は、すべての冶金反応が均一にかつ部品全体にわたって完了することを保証するために必要な事柄によって支配されます。先に触れたように、保持時間に対する一般的なルールは断面の厚さに依存しますが、重量のある加工物および部品に対しては厚さ1インチあたり少なくとも30分で、重量がない加工物および部品に対しては(ピース全体が必要なアニール温度で均一になった後) 10〜30分です。極端に長い保持時間(一晩中など)は、合金のミクロ組織および特性を害するおそれがあるため推奨されません。

帯板またはワイヤの連続的なアニーリングの場合、通常は、その温度で数分保持するだけで十分です。

炉内での時間は、炉のタイプと容量、および加工物/部品の厚さと形状に依存します。加工物全体が必要なアニーリング温度に達したかどうかを判断するには、可能であれば、加工物に取り付けられた熱電対を使用して測定を行う必要があります。

保護雰囲気の使用

ほとんどの HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、酸化環境中でアニールすることができますが、粘着性のある酸化スケールを形成するため、通常は次の工程の前に除去しなければなりません。スケール除去の詳細については、脱スケールと酸洗いのセクションを参照してください。

いくつかのHAYNES® および HASTELLOY® 合金はクロム含量が低く、中性または、わずかに還元雰囲気でのアニーリングが必要です。

ブライト仕上げ(酸化スケールなし)が必要な場合は、低露点水素のような保護雰囲気が必要です。アルゴンおよびヘリウムの雰囲気が使用されていますが、酸素または水蒸気汚染のため に、これらの代替ガスでは顕著な着色が起こる可能性があります。窒素または分解アンモニア中でのアニーリングは、通常、推奨されませんが、許容される場合があるかもしれません。

真空アニーリングは一般に許容されますが、真空圧力および温度に依存して、いくらかの着色が起こる場合もあります。強制ガス冷却に使用されるガスの選択は重要です:通常、ヘリウムが好まれ、(一部の合金に対しては)アルゴンと窒素が続いて好まれます。

熱処理設備の選択

ほとんどのタイプの工業炉は、HAYNES® および HASTELLOY® 合金の熱処理に適しています。しかしながら、誘導加熱は、温度の制御が不十分で均一な加熱が欠如しているため、通常は推奨されません。 トーチ、溶接装置、および類似物による加熱は認められません。熱処理中のあらゆるタイプの火炎の衝突は、避けなければなりません。

機械加工

下記の合金に適用できる推奨工具および機械加工パラメータ:
耐食合金
耐熱合金

これらのカテゴリ (25 および 188) のコバルト基合金は、(表に記載しているように)ニッケルおよび鉄基合金とは異なる送りおよび速度を必要とすることに注意してください。

作業 工具タイプ 工具形状
およびセットアップ
速度 送り 切込深さ 潤滑剤
surface ft./min* in** in**
難しい阻害を伴う粗加工; ターニング または フェーシング 超鋼: C-2または C-3 グレード すくい角が負の四角
または三角インサート, 45° SCEA 1, ノーズ半径:1/16 in
工具ホルダ
5°負のバックテーパ,
5° 負の横すくい角
30-50 0.004-0.008
1回転当たり
0.15 無潤滑2、 オイル3,
または
水性潤滑剤4,5
通常の粗加工;ターニング
または
フェーシング
上と同じ 上と同じ 90
(80 対コバルト合金)6
0.010
1回転当たり
<0.15 無潤滑、オイル、
または
水性潤滑剤
仕上げ;
ターニング
または
フェーシング
上と同じ すくい角が正の四角
または三角インサート,
可能であれば,
45° SCEA1,
ノーズ半径:1/32 in
工具ホルダ:
5° 正のバックテーパ,
5° 正の横すくい角
95-110
(90 対コバルト合金)
0.005-0.007
1回転当たり
0.04 無潤滑ま
たは水性潤滑剤
粗中ぐり 上と同じ インサートタイプの中繰り棒
<の場合は、正の横すくい角
の標準工具で、可能な最大
の SCEA および ノーズ半
径が1/16の工具を使用す
ること。
ロウ付けしたツールバーの
場合は、バックテーパを0°
に研磨し、10°の正の横す
くい角、ノーズ半径が 1/32
in で、可能な最大の SCEA
の工具を使用すること。
70
(60 対コバルト合金)
0.005-0.008
1回転あたり
0.125 無潤滑、
オイル、または
水性潤滑剤
仕上げ中ぐり 上と同じ インサートタイプのバーに標
準の正の横すくい角の工具
を取付けて使用すること。仕
上げターニングに関しては
ロウ付けバーを研磨するこ
と。ただし、バックテーパは
0°が最良である。
95-110
(90 対コバルト合金)
0.002-0.004
1回転当たり
0.04 水性潤滑剤
高速度鋼
M-2, M-7、又は
M-40 シリーズ7
半径方向および軸方向すく
い角: 0°~ 10°正、コー
ナー角 45°、逃げ角10°
の工具を使用すること。
20-30
(20-25 対コ
バルト合金)
0.003-0.005
1刃当たり
オイルまたは
水性潤滑剤
超鋼:
C-2 グレード
(限界性能)
正の軸方向および半径方
向すくい角、コーナー角
45°、逃げ角 10°の工具
を使用すること。
50-60
(35-40 対コ
バルト合金 )
0.005-0.008
1刃当たり
(0.005 1刃当たり
対コバルト合金)
オイルまたは
水性潤滑剤
エンドミル 高速度鋼:
M-40 シリーズ
または T-15
可能であれば、4刃または
それ以上の刃数の剛性の
あるショートエンドミルを使
用すること。
20-25
(15-20 対コ
バルト合金 )
1刃当たりの送り:
直径:¼ 0.002
直径:½ 0.002
直径:¾ 0.003
直径:1 0.004
(対コバルト合金:
直径:¼ 0.001
直径:½ 0.0015
直径:¾ 0.002
直径:1 0.003)
オイルまたは
水性潤滑剤
超鋼:
C-2 グレード
4またはそれ以上の刃数
で、可能であれば可変リー
ドのシャープコーナエンドミ
ルを使用すること。
50-60
(40-50 対コ
バルト合金 )
上と同じ オイルまたは
水性潤滑剤
穴あけ 高速度鋼:
M-33、M-40
シリーズ、または
T-15
先端角が135°で ウェブ
が厚く、短いド
リルを使用すること;
ウェブ先端をシンニ
ングすることでスラス
トを低減でき、先端
の制御を助ける。
10-15
(7-10 対コバル
ト合金)
直径がr ¼ in ま
たはそれ以下
のドリルに対し
て は 200 rpm
が最大。
送り/回転:
直径:⅛ 0.001
直径:¼ 0.002
直径:½ 0.003
直径:¾ 0.005
直径:1 0.007
(対コバルト合金も同じ)
オイルまたは水性
潤滑剤
可能であれば、冷
却剤供給ドリルを
使用すること。
超鋼:
C-2 グレード
推奨はできないが、深
さが大きくなければ、
尖ったドリルにより厳
密にセットアップがで
きるかも知れない。
スラストを減らすには
ウェブをシンニングす
ること:刃先角は135°
にすること。
ガンドリルを使用する
ことができる。
50
(40 対コバル
ト合金)
上と同じ オイルまたは水性
冷却剤供給式の
尖った超鋼ドリル
が、経済的なセット
アップである場合
がある。
リーマ 高速度鋼:
M-33、M-40
シリーズ、または
T-15
コーナ角 45°、
ランド幅が狭く、逃げ
角10°のリーマを使
用すること。
10-15
(8 対コバルト
合金)
送り/回転:
直径:½ 0.003
直径:2 0.008
(対コバルト
合金も同じ)
オイルまたは
水性潤滑剤
超鋼: C-2
または
C-3 グレード
尖ったリーマを推奨す
る; ソリッドリーマは非
常に良好なセッ
トアップが必要になる。
工具の形状は上と同
じ。
40
(20 対コバル
ト合金)
上と同じ オイルまたは
水性潤滑剤
タップ 高速度鋼:
M-1、 M-7、
または M-10
2刃で、フック角が 0° ~
10°のスパイラルプラグ
タップを使用すること。
表面の窒化は耐摩耗性を
高めるが、欠け、あるいは
折損を起こすかも知れな
い。
可能であれば、工具寿命
を延ばすために、ねじの
60-65% にタップを立てるこ
と。
7
(対コバルト
合金も同じ)
できるだけ最良
のタップコンパウ
ンドを使用するこ
と; スルホン酸塩
化物油を基材と
するものを推奨
する。
超 鋼 :
推奨しない
放電加工

一般的な注意事項:可能であれば、高圧冷却剤供給システムおよび工具を通す冷却剤供給システムを使     用してください。

* surface m/min への換算は、 0.305 を乗ずる。
** in から mm への換算は、25.4 を乗ずる。

1SCEA = 工具の横キ切れ刃角、またはリード角。

2無潤滑切削が推奨されている場合は、エアジェットを工具に直接あてることで、工具寿命を大幅に延ばすことができます。

3油冷却剤には、極圧添加剤を含んだ最高級品質のスルホン酸塩化物油を使用しなければなりません; 100°F (38°C)における年度は、50 ~125 SSU が標準です。

4水性冷却剤は、水と極圧添加剤を含む、最高品質の水溶性スルホン酸塩化物油またはケミカルエマルジョンのいずれかを 15:1 の割合で混合したものでなければなりません。

5水性冷却剤は、切削を中断した場合、超硬工具の欠けや急速な損傷を起こすことがあります。

6セットアップの厳密度に依存します。

7M-40 シリーズの高速度鋼には、本書記載時には M-41 ~ M-46 が含まれます; その他も順次追加されると思いますが、同様に適しているはずです。

下記の合金に適用できます:
耐摩耗・耐食合金

ULTIMET® 合金は、適切な工具およびパラメータが使用されれば、成功裏にターニング加工、穴あけ、およびミーリング加工することができます。 しかしながら、この合金は高い強度を有し、急速に加工硬化します。ULTIMET® 合金特有の加工ガイドラインは次のとおりです:

ターニング (ULTIMET® 合金)

超鋼 (高速度鋼ではない) 工具が推奨されます。表面速度: 60-70 surface ft./min (0.30-0.35 m/s).

送り速度: 0.005-0.010 in (0.13-0.25 mm).

粗加工時の切込深さ: 0.05-0.10 in (1.3-2.5 mm).

仕上げ加工時の切込深さ: 0.010-0.015 in (0.25-0.38 mm).

穴あけ (ULTIMET® 合金)

超鋼刃付けまたは高速度鋼ドリルが推奨されます。

表面速度: 30-35 surface ft./min (0.15-0.18 m/s) 対超鋼刃付けドリル: 8-10 surface ft/min (0.04-0.05 m/s) 対高速度鋼ドリル

送り速度: 0.004 in (0.1 mm) /回転 直径 0.25 in (6.4 mm) およびそれ以上に対し刃先角度:135°

ミーリング (ULTIMET® 合金)

超鋼 (高速度鋼ではない) エンドミルが推奨されます。表面速度: 25-30 surface ft/min (0.13-0.15 m/s)

1刃当たりの送り: 0.002 in (0.05 mm) 0.75 in (19 mm) 以下のカッター直径に対し

: 0.003 in (0.08 mm) 0.75 in (19 mm)を超えるカッター直径に対し

研削

下記の合金に適用できる推奨ホイールおよび冷却剤:
耐食合金
耐熱合金

研削のタイプ ホイール* 製造メーカ 作業のタイプ 冷却剤
円筒研削
ストレートまたはテーパ外径  

53A80-J8V127

 

Norton

尖った角および

精密仕上げ

重負荷用可溶性冷却剤

25:1 の比で

CASTROL 653 と混合

成形加工、

シングルホイールセクション法

 

38A60-J8-VBE

 

Norton

突起部の除去、尖った角、水平・垂

直の丸底加工

 

乾式

成形加工、

クラッシュロール法

53A220-L9VB Norton 精密成形、丸底加工 ストレートオイル
 

芯なし

 

53A80-J8VCN

 

Norton

薄肉材、中実または厚肉材の加工 重負荷用可溶性冷却剤

25:1 の比で

CASTROL 653 と混合

内面研削
 

ストレートまたはテーパ

 

23A54-L8VBE

 

Norton

 

小、中、大径の穴および小径の座ぐり加工

重負荷用可溶性冷却剤

25:1 の比で

>CASTROL 709 と混合

平面研削
 

ストレートホイール

 

32A46-H8VBE

38A46-I-V

 

Norton

 

重負荷用可溶性冷却剤

25:1 の比で

CASTROL 653 と混合

両面ディスクタイプ 87A46-G12-BV

87A46-J11-BW

 

Gardner

通し送り研削、

回転テーブル研削、

細かい加工

重負荷用可溶性冷却剤

10:1 の比で

CASTROL 653 と混合

 

円筒または分割タイプ

 

32A46-F12VBE

 

Norton

細かい加工、傾斜面および公差が狭い加工 炭酸ソーダ水

CASTROL 653

シングルホイールセクション法 32A46-F12VBEP Norton 輪郭加工 乾式
ねじ研削
ねじ外面 A100-T9BH Norton VANTOL 5299-M

または 同等剤

ホーニング
 

内面

C120-E12-V32 C220-K4VE J45-J57 Bay State Carborundum Sunnen  

VANTOL 5299-C

または 同等剤

粗研削
切断(湿式) 86A461-LB25W Norton CASTROL 653
切断(乾式) 4NZA24-TB65N Norton 乾式
Snagging 4ZF1634-Q5B38 Norton

*ここに示したホイールは、 6000 ~ 6500 surface ft./min の速度に対して最適化されています。

脱スケールおよび酸洗い

下記の合金に適用できます:
耐食合金
耐熱合金
耐摩耗・耐食合金

HAYNES® および HASTELLOY® 合金は、本質的に耐食性を有しているため、一般に、冷たい酸性の酸洗い溶液に対しては不活性です。 また、熱処理中にこれらの合金上に形成される酸化膜は、ステンレス鋼上に形成される酸化膜よりも高い粘着性があります。

HAYNES® および HASTELLOY® 合金に対する最も効果的な脱スケールの方法は、合金は溶融した苛性浴に浸たし、その後高温で酸洗いすることです。

HAYNES® および HASTELLOY® 合金に対しては、以下の3つの脱スケール方法が成功裏に使われてきました。すなわち:

  1. VIRGO 脱スケール塩浴プロセス
  2. 水酸化ナトリウム還元塩浴プロセス
  3. DGS 酸化塩浴プロセス

これらの方法に関連する手順を、下記の表に示します。

脱スケールおよび酸洗いの手順

VIRGO 脱スケール塩浴 水酸化ナトリウム還元塩浴 DGS 酸化塩浴
脱スケール剤 VIRGO 塩浴剤 水酸化ナトリウ DGS 塩浴剤
浴温 970°F (521°C) 750°F-800°F ム(399°C-427°C) 850°F-950°F (454°C-510°C)
脱スケール時間 1 ~ 3 分 15 分 2 ~ 10 分
水洗浄時間 1 ~ 2 分 1 ~ 2 分 1 ~ 5 分
 

 

酸洗い ステップ 1

 

15-17% 硫酸 + 0.5-1% 塩酸

 

165°F (74°C) で3分*

4-6% 過マンガン酸カリウム

+ 1-2% 水酸化ナトリウム

135°F-155°F (57°C-68°C)

で15 分*

15-25% 硝酸 +

3-5% フッ化水素酸

130°F-150°F (54°C-66°C)

で 10 ~ 20 分

 

酸洗いステップ 2

7-8%硝酸

+3-4% フッ化水素酸

125°F-160°F (52°C-71°C)

で 25 分

8-12% 硝酸

+ 2-3% フッ化水素酸

125°F-160°F (52°C-71°C)

で 15 分

 

第2ステップなし

仕上げ水洗浄 3 分又は蒸気噴霧 浸漬 浸漬および蒸気噴霧

*その後に水洗浄

特定の条件下では、砂、ショット、または蒸気ブラストをスケール除去に使用できます。ブラスト材料は、表面をかじるのではなく、迅速な切削作用を提供するようなものでなければなりません。また、特に鉄で汚染されている場合は、砂を再使用しないでください。ブラスト処理後、酸で加工物を酸洗いして、埋め込まれた鉄または他の不純物を除去することが望ましいです。

歪みの危険性および/または砂やスケールを金属表面に埋め込む危険性があるため、断面が薄い部品をブラストするときは細心の注意が必要です。サンドブラストはまた、表面を硬化させる傾向があり、ある種の合金ではその後の成形上の問題を引き起こす可能性があります。

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溶接および加工

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